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カラーリング

キャラクターを引き立たせるカラーマンガの背景の塗り方

はじめに

マンガにおける視線誘導の大事さはカラーになっても変わりません。
コマ内の配置にもよりますが、まず吹き出しに目が行き、次にキャラクターまわり、そして次のコマへ…といった感じになります。
そこで、カラーマンガもキャラクターを目立たせるのが重要ですが、カラーにしたら背景にキャラクターが沈んで見づらくなった…ということがあると思います。
なのでここではキャラクターを目立たせることを意識したマンガにおける背景の塗り方のポイントをご紹介したいと思います。

背景とキャラクターの色相・明度・彩度に差をつける

キャラが目立たなくなる原因はキャラの色相・明度・彩度と背景の色相・明度・彩度が近すぎるのが一番多いです。特に夕方や夜のシーンでキャラを背景になじませようとして効果をかけて色相がまとまってしまい、キャラが背景に溶けすぎて目立たなくなったりします。

例として夕方っぽい効果をかけました。

全体的に同じような効果を載せています。正直ぱっと見でキャラを見分けづらいです。

そこで、

【改善案1】色相をずらしてみる。
【改善案2】キャラから全体フィルタ効果を外してみる。

という改善策の2パターンの塗りを見てみましょう。

◇ 改善案1

◇ 改善案2

改善策1では、周りを黄色、人物をピンクよりへずらしています。改善策2では、キャラが浮いてしまうのでは…と思うかもしれませんが、編集視点からするとキャラが見づらくなるよりはいいようです。どうしても気になるようなら影色を工夫するだけ(画像は影のみ効果を付けたものです)でもなじむかと思います。

目立つ色を背景に使ったり、影を塗りすぎない

看板や屋根にキャラより目立つ色を使ったり塗り込みすぎると、必要以上に存在感が出て意図せず読者の視線を誘導してしまい、漫画としての見づらさの原因になります。意味がある場合を除き、背景はキャラよりも彩度を下げ、低コントラストで影をつけるなどし、まとまった印象に仕上げると無意味な視線誘導を防げます。
背景のみで構成されているコマや、キャラが注目しているものなどは細かく塗ったりしますが、特に重要でもないものに視線を向かわせるのは読みにくさの原因にもつながります。

◇ 目立つ色が配置されているもの

◇ 目立つ色は使ってないが背景を塗りこんだもの

◇ 背景の描きこみとコントラストを抑えたもの

背景のみで構成されているコマや、キャラが注目しているものなどは細かく塗ったりしますが、特に重要でもないものに視線を向かわせるのは読みにくさの原因にもつながってしまいますので留意しておきましょう。

まとめ

今回ご紹介したのは、あくまで視線誘導を意識し、読みやすさを重視した漫画としての着彩の一つです。イラストをメインに見せたいなどの作品の趣旨によっては当てはまらなかったりもします。
あくまで重要なのは作品に合った塗り方をするということなので、一つの方法とし記憶の片隅にでも置いておくといいかもしれません。

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